社会福祉法人コンサルティング 中期経営計画策定コンサルティング 福祉施設には地域に根差した安定したサービスの提供が求められます。福祉施設を取り巻く経営環境の変化は年々厳しさを増している中で安定した経営基盤を築くためには、中長期的な視点に立った経営計画が必要になります。 福祉施設を取り巻く環境の変化 外部環境 ・報酬改定による収益の減少 ・株式会社等の参入による競争激化 ・制度改正への対応による費用増大 ・労働力人口の減少による採用難 ・働き方改革を始めとする政策への対応 など 内部環境 ・法人の将来不安による職員の不安感増大 ・人件費率増加による収益性の低下 ・職員の定着率の低下 ・役割・権限が不明確で非効率な経営 など ビジョンの策定 将来の事業経営において周辺環境が厳しくなっていく中で、福祉施設が生き残るためには環境に適合していく必要があります。このような厳しい環境の中で経営していくためには、ビジョンの設定が重要になります。明確なビジョンを設定することにより、理念実現に向け将来の方向性を具体的に描くことが可能になるためです。 将来の地域福祉ニーズに応えるための事業構想の中で、どの位の資金が必要で、法人の保有資金で足りるのか、借入が必要なのか。また、新しい施設のリーダーは誰が担当するか、既存施設から何名選出するのか等、法人のビジョンを設定することは、経営戦略策定のもとになり、必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の適性配分の根拠となります。 ビジョンの位置づけ ビジョンは、法人組織としての使命や目的、機能を包含するものです。 そうしたビジョンをもとに経営戦略や中長期の経営計画を立案すれば、方針⇒目標⇒計画といった一連の組織的活動の方向づけが行えることになり、一体的な経営管理を実現することができます。 SWOT分析と経営課題の整理 ビジョンを実現するためには、経営環境分析を行い、自法人の置かれている位置を正確に把握する必要があります。その代表的な手法が「SWOT分析」です。SWOT分析では、施設を取り巻く環境を外部と内部に区分し、縦軸を外部環境と内部環境に分け、横軸を好影響と悪影響に分け、マトリックス(格子状の枠)により自法人の環境を客観的に分析します。 SWOT分析例 SWOT分析により経営課題を抽出したら、その優先順位をつけていきます。その際、全社課題が優先されますが、法人内の事業所ごとにも優先順位を付けます。ビジョン実現に向け、限られた経営資源を有効に使っていくためにも、優先順位付けは重要です。 課題の優先順位付けの例(時間管理のマトリクスと呼ばれる考え方) トータルマネジメントの視点に基づいた戦略マップの策定 トータルマネジメントとは、法人が進むべき方向をビジョン・戦略で明確にした上で、財務、非財務の両面を、バランスよく統合的に取り入れていくマネジメント手法です。 トータルマネジメントの視点で中期経営計画を作成するために、バランスド・スコアカード(以下BSC)という手法を使うと、バランスの取れた中期経営計画を作成することができます。 福祉施設トータルマネジメントの体系 BSCは上記の4つの視点でまとめるのが一般的ですが、福祉施設においては、これに「地域」の視点を加えた5つの視点でまとめることをお勧めします。 5つの視点で戦略を整理し、漏れや偏りのないように戦略の全体像を組み立てていきます。各経営戦略をマップ状に配置し、全体をイメージしやすいように並べます。 戦略マップ全体イメージ図 資金計画への反映 施設整備資金、大規模修繕など固定資産に関係する項目は、3~5年の中期経営計画期間中に、積立資産をあるべき水準に到達できないものもあります。その場合は、中期よりもさらに長期間の計画を踏まえた上で、単年度に落とし込んでいきます。 資金計画書5ケ年 例 必要資金総額から各年度単位で必要な年額まで落とし込み、金額を掴んだら当初予算に組み込み、月次展開して進捗管理し追っていきます。 5カ年資金計画を事業計画と整合性を持たせ、当初予算を作成します。作成された当初予算をもとに月次展開した単年度資金計画書を作成します。 単年度の資金計画への展開 単年度計画は月次で数字を展開させて管理していきます。その際予算額を12ヶ月の均等割りにするのか、ある程度時期が決まっているのか、詳細を記載します。 資金計画への反映 施設整備資金、大規模修繕など固定資産に関係する項目は、3~5年の中期経営計画期間中に、積立資産をあるべき水準に到達できないものもあります。その場合は、中期よりもさらに長期間の計画を踏まえた上で、単年度に落とし込んでいきます。 年間シート例 年間シートで中期経営計画全体像を描いた後、年度ごとの活動計画シートに落とし込みます。年度計画シート作成後、事業計画書を作成し、当初予算に反映させます。 年度計画シート例 (一部抜粋) 年度計画シートは、誰がどこまでやるのかなど具体的にしていきます。毎月行われる月次会議等で年度計画シートを見ながら進捗状況を確認していきます。 計画達成のためのアクションプラン例 個別行動計画(アクションプラン)は、年度経営計画にもとづき、担当者別に立てる必要があります。そしてこれは「職員の日常業務における遂行計画」となるものです。この計画の内容と質が、結果としては年度経営計画の達成具合に大きく影響をしてくるのです。